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米田 安宏; 青柳 倫太郎*; Fu, D.*; 竹中 正*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 39(3), p.247 - 250, 2014/09
BiNaTiOとNaNbOは共にO型のペロブスカイト強誘電体である。これらの物質は比較的高い圧電特性を有していることから、比鉛圧電素子への応用が期待されている。圧電素子として利用する場合、圧電振動中に自身の発する熱によって相変態することを防ぐために、広い温度領域で強誘電相を安定化させる必要がある。これらの物質にはアルカリ金属であるナトリウムが含まれているがナトリウムをリチウムで置換すると強誘電相が広い温度領域で安定化することがわかった。そこで、この安定化機構の解明のため平均構造のみでなく、局所構造も調べた結果、ナトリウムをリチウムに置換した際だけに観測される局所構造を見出した。
石川 法人
no journal, ,
酸化物の高エネルギーイオン照射に伴って形成される欠陥集合体(イオントラック)の形成メカニズムを推察するために、MeVからGeVの広いエネルギー範囲にわたって照射損傷を調べた結果を報告するとともに、包括的な現象解釈モデルを提案する。従来、高エネルギー領域では電子的阻止能(照射ターゲット中の電子系へ伝達されるエネルギー密度)が照射損傷の程度を決定するとされてきたが、電子的阻止能が一定にもかかわらずイオン速度領域の違いによっても損傷が顕著に異なることを示す系統的な実験結果を提示する。このようなイオン速度の違いによる損傷の違いを説明する一貫したモデルはこれまでない。本報告では現象を説明可能なモデルを提案する。
吉井 賢資; 米田 安宏; Jarrige, I.*; 福田 竜生; 西畑 保雄; 鈴木 知史; 伊藤 嘉昭*; 吉門 新三*; 福島 整*
no journal, ,
BaTiOの強誘電性の起源を探るため、Ba-LおよびTi-K吸収端において放射光共鳴発光測定を行い電子状態を観測した。Ba吸収端においては、共鳴発光を用いた部分蛍光法による吸収スペクトルをキュリー点上下で測定した。過去の文献では、温度によりスペクトルに違いが見られ、それによりこの物質の相転移がいわゆる変位型によるとの示唆がなされた。しかし本研究では、温度を変えてもスペクトルはほとんど変化しなかった。よって、スペクトル変化の存在の有無については、今後さらに検討が必要である。Ti K吸収端での測定からは、Tiの共鳴発光ピークは吸収端近傍でそのエネルギーは一定であった。これは通常元素分析で用いられる蛍光過程によるものであり、励起された電子が速やかに非局在化することを示す。非局在化はTiのp及びd軌道で起こっており、Ti-Oの強い混成によって軌道が遍歴的になっていることを示す。この結果は、BaTiOの強誘電性がTi-Oの強い混成による歪みに由来することを示すものであり、過去の理論計算などと定性的に一致する。
大和田 謙二; 並河 一道*; 松下 三芳*; 水木 純一郎*
no journal, ,
リラクサー強誘電体のモルフォトロピック相境界(MPB)における誘電応答の温度依存性は冷却速度依存性を示すことが知られている。これらは正方晶-菱面体相転移のドメインゆらぎによるものである。我々は、MPBに接近したPZN-9%PTの正方晶-菱面体相転移(T300K)に注目した。我々は誘電率の周波数依存性と、ドメイン配列を直接反映したコヒーレントX線散乱とを同時に計測した。これらの結果はドメインゆらぎが低周波誘電応答に寄与していることを直接的に示していた。これらの結果は低周波誘電応答の温度依存性の冷却速度依存性と強くかかわっているだろう。
八巻 徹也; Nuryanthi, N.*; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 箱田 照幸; 前川 康成; Voss, K.-O.*; Severin, D.*; Seidl, T.*; et al.
no journal, ,
本研究では、より速く効率的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)イオン穿孔膜を作製することを目指し、GSIにおける「その場」かつ「オンライン」分析によって、潜在飛跡内に存在する化学種の構造や反応性を調べた。その結果、照射と同時に生成したラジカルを介して、PVDF鎖中および切断末端の不飽和結合が主に生成することがわかった。また、このような飛跡内の生成物にのみ作用しエッチングを加速するための改質過程、いわゆる前処理の方法としてオゾン曝露の有効性を示した。以上のように、フッ素系高分子のイオン穿孔膜において、従来から課題となっていた孔径と形状を制御できる見通しが得られたので、それに至る研究展開をレビューする。
長澤 尚胤; 金澤 進一*; 吉井 文男; 玉田 正男; 田口 光正
no journal, ,
植物由来のバイオプラスチックであるポリ乳酸は、低環境負荷材料としての利用が注目されている。これまで我々は放射線架橋によるポリ乳酸の耐熱性向上に成功してきた。今回は、可塑剤添加による柔軟性や弾性の改善について検討した。可塑剤(リケマールPL-019)を混練にて20%添加したポリ乳酸を2MeVの電子線照射(20kGy)で架橋することで、引張伸度が数%から30%まで向上し、柔軟性が改善された。さらに、浸漬法による架橋ポリ乳酸の可塑剤添加量の増大に伴い、引張伸度が70%以上まで増大し、添加量を35%以上にすることでゴム弾性が発現することを見出した。この弾性体は、ポリ乳酸のガラス転移温度以上である80Cで一週間加熱しても可塑剤が染み出さず弾性を保持していた。以上のことから、ポリ乳酸の柔軟性の向上と共に弾性体の創製に成功し、架橋ポリ乳酸の応用拡大に繋がる見通しを得た。
前川 康成
no journal, ,
種々の量子ビームの特徴を有効に利用することで、燃料電池自動車に適用できる高性能の燃料電池用高分子電解質膜の開発を進めた。フッ素系樹脂膜への放射線グラフト重合法によるイオン伝導高分子の付与により、プロトン伝導及びアニオン伝導電解質膜(PEM及びAEM)を作製した。PEMでは、イオン交換容量(IEC)の高い電解質膜が合成できたことで、低湿度条件での出力特性向上と高温湿潤状態での高耐久性化に成功した。AEMでは、新たなアニオン交換基を放射線グラフト重合によって導入することで、白金フリーアルカリ燃料電池に必要な出力特性と高温アルカリ耐性が従来膜よりも大幅に向上することを実証できた。更に、複数のX線小角散乱測定によってPEMの階層構造が解析できた結果、高いIEC領域で、ラメラ構造を含む微結晶領域と独立したイオン伝導領域の存在が、それぞれ高い機械特性と導電特性の発現に重要であることを明らかにした。
菊地 龍弥
no journal, ,
中性子非弾性散乱実験は、分子原子ダイナミクスを時間・空間の両方において情報を得られる重要な実験手法である。実験で直接得られる動的構造因子は、van Hoveの時空相関関数のフーリエ変換で記述される。この時空相関関数は実時間・実空間における関数であり、原子分子のダイナミクスを直接的に表すため、それらの解明に重要である。しかしながら、その計算には広いQ-E範囲でかつ高分解能のデータが必要であり、計算自体は数学的には容易であるにもかかわらずほとんど行われていない。近年、分光器の進化により時空相関関数が計算可能な測定が可能になりつつある。我々はJ-PARCセンターのAMATERAS分光器により中性子散乱実験を行い高分解能・広範囲のデータの取得を行い、時空相関関数の計算を試みている。その結果、単純な分子液体であるベンゼンやシリカガラスで計算に成功し時空相関関数を得ることができた。得られた時空相関関数は、静的な構造研究やダイナミクスの研究と十分に一致した。時空相関関数の計算が可能になったことで、新たなダイナミクスの研究が可能になると考えている。
吉村 公男; 越川 博; 八巻 徹也; 猪谷 秀幸*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
no journal, ,
既存のガソリンスタンドなどのインフラが利用可能な、常温で液体の水加ヒドラジンを燃料としたアニオン交換形燃料電池の実現には、アニオン伝導電解質膜のアルカリ耐性の革新的な改善が必須となっている。本研究では、これまで検討してきた放射線を利用して作製したグラフト膜の分解反応の起点となるベンジル位と水素を化学構造中に持たない新たなアニオン膜(AEM3)の合成方法の検討と、そのアルカリ耐性評価を行った。4(5)-ビニルイミダゾールのグラフト重合、イミダゾール部位のヨウ化メチルによるN-アルキル化、および水酸化カリウム(KOH)水溶液処理によるイオン反応により、アニオン膜AEM3(イオン交換容量: 2.26mmol/g)の合成ルートを確立した。AEM3の導電率、含水率はそれぞれ85mS/cm、85%であり、燃料電池動作に十分な値であった。60C、1M水酸化カリウム中での導電率減少からアルカリ耐性を評価した結果、AEM3は、従来のアニオン膜に比べ浸漬初期の導電率の急激な減少が明確に抑制された。本結果より、分解の起点となるベンジル位と水素を分子構造中に含まない分子設計が、アルカリ耐性の向上に重要であることが確認できた。
小林 知洋*; 八巻 徹也; 箱田 照幸; 荻原 清*; 山崎 泰規*
no journal, ,
イオンビームを先細のガラスキャピラリーに通過させることにより、マイクロビーム化することが可能である。本研究では、この技術で得られたプロトン(H)マイクロビームを利用して、液相中での放射線還元法による白金(Pt)ナノ粒子の生成を試みた。テーパー付きガラスキャピラリー(出口径: 約200m)に3MeV Hを通し、厚さ7mのポリイミドフィルム隔壁を介して1mmol/L塩化白金(IV)とエタノールの混合水溶液に照射した。その結果、隔壁付近の溶液中において固体生成物の浮遊が見られ、Ptナノ粒子の生成が確認できた。透過型電子顕微鏡による観察では、ナノ粒子の直径は5-10nmであった。また、キャピラリー先端から100m離れた溶液中にグラッシーカーボン基板を設置して同ビームを照射すると、Ptナノ粒子が基板上に付着している様子が見られた。
Ko, B.-S.*; 吉村 公男; Sinananwanich, W.*; 前川 康成
no journal, ,
線により多孔性ポリスチレン粒子(PSD)粒子表面にフタル酸ジアリル(FDA)を含む1-アリル-2-チオ尿素(ATU)を固定化した。ATU(FDA)固定化PSD粒子中のATU固定化量が増加すると亜鉛の吸着量も増加することが分かった。また、ATUによる亜鉛吸着能はpHにより大きく変化し、最大効力はpH5-7の範囲で発揮された。pH7では、ATUを固定していないPSD粒子に比べて亜鉛吸着量が2.64倍になった。この亜鉛吸着量の増加が、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ジラム)の分解を抑え、結果的にATU(FDA)固定化PSD粒子へのジラム吸着能を向上させたと結論した。さらに、ATU(FDA)固定化PSD粒子は繰り返し使用しても、そのジラム吸着能と回収能を維持することができた。したがって、これらの結果から、ジラム分析の簡便で迅速な固相吸着法が確立できたと結論した。